ADHDのある子どもへの対応

ADHDのある子どもに関わる上で意識したいことADHDのある子どもに関わる上で意識したいこと

※本コンテンツは、ADHD以外の発達障害と共通する内容が含まれています。

ADHDのある子どもは、その特性から頑張ってもうまくいかないことも多く、失敗やトラブルを重ねることで周りから叱られ、挫折感を繰り返し味わうことがあります。また、小学校に入ると、授業についていけないといった学習面での困難のために傷つく子もいます。友達付き合いが苦手な子どももいるので、からかいやいじめの対象になることも少なくありません。
このような傷つきが度重なり傷が深まることで、「どうせダメな子なんだ」と自分を責めるようになってしまうこともあります。自信を失い、周りの人を信じられなくなると、二次的な問題を引き起こしてしまうこともあるようです(「ADHDと二次障害」の詳細は コチラ)。
教師が、関わりによって子どもを傷つけるようなことは避けなければなりません。二次障害を未然に防ぐためにも、特に次のような点を意識しましょう。

感情的・頭ごなしに叱らない

トラブルの原因となるADHDのある子どもの行動は、努力不足やわがままによるものではありません。「忘れないようにしよう」と思っているのに、「忘れてしまう」のです。「何度言ったらわかるの!」「いい加減にしなさい!」などと感情的な言葉をぶつける行為は、悪意がないのに同じ失敗を繰り返し、どうしたらよいかわからず困っている子どもを傷つけ孤立させてしまうことがあります。必ず、そこには「できない理由」があるので、その子の気持ちに配慮しながら、一緒に解決法を考えていきましょう。
また、頭ごなしに叱ると、「いつも自分だけ叱られる」「自分だけが悪いんじゃない」という思いが募っていきます。明らかに望ましくない行動・危険な行動は毅然と注意する必要がありますが、その後、「その行動はなぜしてはいけないのか」を説明し、「どうしたらよかったのか」を一緒に考えるとよいでしょう。

「あなたがダメ」という伝え方は避ける

つい、「きみはどうしていつも」「また、○○か!」などという言葉を口にしていないでしょうか。本来、そこで課題になるのはその子の「行動」のはずなのに、その子の「人格」まで責めてしまうパターンです。ここで意識したいのは、「その子の“人格”と“行動”を分ける」ということです。
例えば、授業中に席を離れてしまう子どもがいたとします。「授業中に席を離れてしまう子ども(人格)」に問題があるわけではなく、「授業中に席を離れてしまう(行動)」に問題があるのです。「授業中に席を離れる子どもがダメ!」という言い方はせず、「急に席を離れたら、授業を聞いているほかの子たちがびっくりするから、席を離れたらいけないよ」といった伝え方をするとよいでしょう。

穏やかに静かな声で

ADHDのある子どもは、大きい声や高い声を嫌がる場合があり、そうした声に過度に反応して、自分をコントロールできなくなってしまうこともあります。注意をするときも、穏やかに静かな声で伝えるようにしましょう。

注意をするときは個別に

子どもを注意するときは、なるべくほかの子どもたちの目につかないところに移動して話す配慮をしましょう。本人が気まずさや恥ずかしさを感じ、周囲の子どもたちがその子に対してマイナスのイメージを持ってしまうことを避けることができます。

成功体験を積み重ねられるように

ADHDのある子どもは、その特性に起因する行動から誤解や叱責を受けることが多く、自信を失いがちです。「できた!」という達成感が、その子のやる気を引き出して自信につながることもあるため、成功体験はとても大切です。できれば子どもの「頑張り」が目に見える形で積み重なっていくような取り組みを、クラス全体で取り入れてみましょう。達成したい課題や身につけたい行動を「目標」として立て、できたらシールを貼ったり、ポイントをあげたりするような仕組みを考えてみるのもよいでしょう。

イラスト1:成功体験を積み重ねられるように

褒めるときはみんなの前で

その子のよいところを見つけて、褒める機会をたくさんつくりましょう。褒めるときは、「よい行動がみられたときにすぐ、みんなの前で」がポイントです。「褒められる子」なんだということを、本人も周囲の子どもたちも感じられることが大切なのです。よい行動を、ストレートに褒めるようにしましょう。

監修:筑波大学人間系障害科学域 知的・発達・行動障害学分野 教授 柘植 雅義 先生

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