保護者とのコミュニケーション

ADHDのある子どもの保護者との協力・信頼関係の構築ADHDのある子どもの保護者との協力・信頼関係の構築

※本コンテンツは、ADHD以外の発達障害と共通する内容が含まれています。

ADHDのある子どもが困っている場合、それをサポートするには、保護者との協力が必要になることがあります。そのためにも保護者との情報交換を検討しましょう。また情報交換を重ね学校と保護者の間で互いに理解を深めていくことは、信頼関係の構築にもつながるでしょう。では、保護者と協力し信頼を得るために、教師にはいったい何ができるのでしょうか。

学校での様子を伝える

学校と家庭では環境が異なるため、子どもの状況が違うこともあるかもしれません。授業やクラスの集団活動、あるいは学芸会など行事の練習を見学してもらい、学校での子どもの様子を確認してもらうのもよいでしょう。ただし、いずれも、保護者自身に子どもの学校での様子を見てみたいという意思があることが前提になります。 集団の中で過ごすわが子を見ることで、周りの子どもたちとの違いを客観的に理解しやすくなるのではないでしょうか。その上で、「お子さんが困っている部分をサポートしていきたい」という教師の思いを伝え、「どうしたら学校生活を楽しめるか一緒に考えましょう」など、保護者に協力を仰いでいきましょう。

イラスト1:学校での様子を伝える

保護者から情報を聞く

家庭での環境・対応の工夫を教えてもらうと、学校での対応のよいヒントになるでしょう。

【例:保護者が専門的な機関からアドバイスを受けている場合】
病院や療育機関で保護者が教わった関わり方を伝えてもらいましょう。
「お家と学校で関わりを統一したほうが、〇〇さんが混乱せず安心して過ごせると思います。病院や療育機関からのアドバイスで、お母さんが取り入れていらっしゃることがあれば教えていただけますか?」
イラスト2:保護者から情報を聞く

家庭と学校とで情報交換を繰り返し、教師が子どもと真剣に向き合っていることが伝わると、保護者も教師を信頼し、一緒に考えていこうという思いになっていくでしょう。

「情報の引き継ぎ」が大切

子どもへの理解を深めるために、その親子に関わってきた支援者や専門家から話を聞くことも重要になります。就学の際は、保育園または幼稚園の先生から子どもがどのように過ごし、園でどのような支援をしてきたか直接話を聞いたり、入手できれば、「個別の教育支援計画」などに目を通したりして、確認することも一つの方法です。進級の際は、子どもの様子や支援の仕方などについて前担任から必ず引き継ぎをしてください。
また、病院や療育機関に通っていることが明らかな場合は、医師や療育担当者(臨床心理士やソーシャルワーカーなど)からのアドバイスが必要な場合がありますので、保護者の同意が得られる場合には、連絡が取れるようにしておくとよいでしょう。
これまでにどのようなことがあって、どのように支援を受けてきたかを把握することが、これからの支援の中で重要になることがあります。できるかぎり関係者から情報の引き継ぎを受けるように心掛けてください。

「個別の教育支援計画」
「個別の教育支援計画」とは、一人ひとりの障害のある子どもに対して、医療・福祉・教育などの関連機関との連携を図るために、乳幼児期から学校卒業後まで一貫した支援を行うための計画です。必要に応じて保護者が参画する場合もあります。学校や教育委員会が中心となって作成していきます。また、校内委員会で作成することもあります。

サポートのネットワークづくり

関わる人によって対応が違うと子どもは混乱してしまいます。学校内および家庭で一貫した対処がとれるように、学校内、家族、場合によっては学校外の専門機関と情報を共有するように心掛けましょう。そのための学校内・外の関係者、保護者との連絡調整は、特別支援教育コーディネーターが中心となって行うケースが多いようです(「学校内・外の連携」の詳細はコチラ)。

監修:筑波大学人間系障害科学域 知的・発達・行動障害学分野 教授 柘植 雅義 先生

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