保護者とのコミュニケーション

周りの子どもの保護者への理解・協力の求め方周りの子どもの保護者への理解・協力の求め方

※本コンテンツは、ADHD以外の発達障害と共通する内容が含まれています。

ADHDのある子どもの行動が、けんかなどのトラブルにつながることがあるかもしれません。ADHDのある子どもの行動について、周囲から理解が得られず、他の保護者から不満が出てくることもあるでしょう。教師は、周囲にどう理解を促していくかについても考えていく必要があるでしょう。

不満をもつ保護者への丁寧なフォローを

ADHDのある子どもの行動が原因で他のクラスメートとの間でトラブル(何かしらの迷惑をかけてしまった、けがをさせてしまったなど)が起きてしまったとき、担任の教師はそのクラスメートの保護者に対してまず心配をかけたこと、教師としてトラブルを未然に防げなかったことについて誠心誠意、謝ることが大切です。

【例:ADHDのある子どもがクラスメートにけがをさせてしまった場合】

双方から事情を聴き、すみやかに両方の保護者に連絡します。

けがをした子の保護者は、なかなか冷静でいられないものです。まずはその思いを受け止め、心配をかけたことに対し、担任として行き届かなかったことを謝罪しましょう。

イラスト1:例:ADHDのある子どもがクラスメートにけがをさせてしまった場合

中立的な立場で状況を伝え、けがをさせた子に悪意はないこと、「嫌だ」という気持ちがとっさに行動に出てしまうことなどを説明しましょう。このとき、けがをさせた子をかばうような印象を与えると相手は不快に感じるので、言葉を慎重に選ぶ必要があります。
また、けがをした子の保護者に、その場で障害の有無や疾患名について伝えることは絶対にしてはいけません。

トラブルが起きるたびにそれぞれの親に対して丁寧に対応をしていくことが大切になります。そして、例えば手を出してしまった子に対して「たたくという行動ではなく、言葉で伝えるように指導していく」など、今後行う予定の具体的な対策を示すようにしましょう。ただ謝るだけでなく、改善のために努力している姿勢を見せることも必要でしょう。

周囲に子どもの特性を伝えるべきか

ADHDのある子どもの保護者、クラスの子どもたちやその保護者等の状況を考慮し、その子がADHDを持つことやその子の特性について、周囲に伝えることを検討してよい場合もあるでしょう。周囲に伝えることにはメリット・デメリットがあり、保護者によって考え方もさまざまです。また、周囲がADHDのことを受け入れられる状況にあるかも十分考慮する必要があります。決して教師の一方的な思いで話を進めるのではなく、保護者がリスクのあることを十分理解し、それでも伝える決意があるのであれば、計画を進めてもよいでしょう。
もし、ADHDを持つことやその特性を周囲に伝えることになった場合には、その伝え方や内容を十分かつ慎重に検討することが必要です。伝え方によっては、診断名や特性だけがクローズアップされてしまい、偏見を助長してしまうこともあります。周囲への具体的な伝え方について、医師や相談機関などへの相談を検討するとよいでしょう。

保護者同士をつなぐ

周囲の保護者全員を理解者にするのは難しいかもしれませんが、クラスに一人でも温かく見守ってくれる保護者がいるとずいぶん違うものです。
ADHDのある子どものことを気にかけている様子がみられる保護者、理解のありそうな保護者がいたら、例えば保護者参加の行事で同じグループにしたり、教師が間に入って共通の話題を振ったりして保護者同士をつなぎ、理解者を増やしていきましょう。

イラスト2:保護者同士をつなぐ

また、PTA活動も他の保護者とつながるよい機会になります。あくまでも保護者にその気があればですが、勧めてみてもよいでしょう。

監修:筑波大学人間系障害科学域 知的・発達・行動障害学分野 教授 柘植 雅義 先生

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