学校内・外の連携

学校内での連携学校内での連携

2007年4月1日に文部科学省から「特別支援教育の推進について(通知)」が出されて以来、特別な支援を必要とする、発達障害のある子どもへの支援体制が整ってきています。また、2016年4月に施行された「障害者差別解消法」では本人等から意思の表明があれば、障害のある全ての方への「合理的な配慮」の提供が求められます。学校が合理的配慮を提供しないことは差別にあたるとしています。
こうした社会の変化に伴い、特別支援教育はさらに充実・発展することが期待されており、子どもたちが、障害の有無にかかわらず共に学べるような学校づくりが求められています。
ただ、通常の学級で担任教師が40人近くの児童の指導を受け持ちながら、特別な支援を必要とする子どものことも気にかけ、支援を行っていくことはなかなか難しいのが現状でしょう。担任教師で抱え込むのではなく、子ども支援のためのチームづくりを考えてみましょう。

校内のチームづくり

特別な支援を必要とする子どもを支えていくため、どのような人と連携していけばよいでしょうか。校内で協力者となりうる人を挙げてみます。学校によって体制や状況に差はあるかもしれませんが、つながることができそうな人に積極的に働きかけ、ネットワークを広げていきましょう。

特別支援教育コーディネーター

学内の特別な配慮を必要とする子どもの支援における中心的な役割を担います。保護者からの相談にも対応して、必要に応じて校外の機関とも連絡を取りながら、支援の調整を行います。特別支援教育コーディネーターは校長が1名もしくは数名指名します。教頭や教務主任、養護教諭、通級指導教室や特別支援学級の担当教員、通常学級の担任教員などが選ばれます。

特別支援教育コーディネーターの役割の例
【校内における役割】

校内委員会のための情報収集や準備
(「校内委員会の役割と活用」の詳細はコチラ

担任への支援

校内研修の企画・推進

【外部の関係機関との連絡調整などの役割】

医療や福祉などの関係機関の情報収集・整理

医療や福祉などの専門機関へ相談をする際の情報収集と連絡調整

専門家チーム、巡回相談員との連携
(「専門家チーム」と「巡回相談」の詳細はコチラ

【保護者の相談窓口】

保護者の相談対応

保護者との協力体制づくり

特別支援教育支援員

学級担任と連携し、黒板の字を読み上げたり、一緒に教科書を読んだり、教室を飛び出してしまう子に付き添ったりなど、学習や活動において支援が必要な子のサポートをします。支援内容は地域や学校によってさまざまで、教育委員会などが配置をします。担任は学級全体の指導者、特別支援教育支援員は個別のサポートをする支援者というように、互いに役割分担し、連携して学級運営をしていきます。

イラスト1:特別支援教育支援員

通級指導教室・特別支援学級の担当

通級指導教室・特別支援学級の担当は、視覚障害、聴覚障害、知的障害、肢体不自由、病弱の子どもへの支援や指導において専門的な知識を持っている一方、発達障害について研修を受けている場合もあります。校内にこれらの学級がある場合、その担当者と連携をとり、子どものことを相談できるような体制をつくっておくと心強いでしょう。

養護教諭

発達障害のある子は身体的な不調や精神的な悩みから、保健室を訪れることがあります。そういった場合、普段から養護教諭と連絡を取り、保健室での様子を把握しておいたほうがよいでしょう。

スクールカウンセラー

多くは、臨床心理士などの資格を持つカウンセリングの専門家です。学校に配置されていない場合あるいは定期的に派遣されていない場合、地域によっては学校から教育委員会などに派遣要請できる場合があります。教師でもなく親でもない立場だからこそ子どもが率直に相談できたり、子どものことを本人の視点から理解しようと試みるため子どもが困っていることを解決する方法を探る大きなヒントをもたらしてくれたりするかもしれません。また、スクールカウンセラーに保護者と連絡を取ってもらい、家庭の悩み、学校への要望、将来への希望など保護者の本音についても把握してもらうようにしてもよいでしょう。

校長などの管理職

特別支援教室の全校的な支援体制の構築や指導の方向性を整備していきます。校内の委員会の設置や校外の医療や福祉などの専門機関と連携をとることや、保護者の不安を取り除く相談役になることもあります。

校内委員会の役割と活用

文部科学省ホームページ: 個別の指導計画の様式例より引用

 文部科学省ホームページ: 個別の指導計画の様式例より引用
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/1298214.htm

特別支援教育の実施にあたって、文部科学省の主導により学校全体の支援体制として「特別支援教育に関する校内委員会」の各校への設置が求められています。
校内委員会とは、校長のリーダーシップの下、特別支援教室の支援体制をつくるために必要な職員で構成され、外部の専門家が参加する場合もあります。特別な支援が必要な子どもの実態把握を行い、学級担任の指導への支援方策を具体化したり、保護者や、医療や福祉などの関係機関と連携して「個別の教育支援計画」を作成したり、校内関係者で連携して「個別の指導計画」の検討・作成を行ったりします。
ただ、何か課題が出てくるたびに校内委員会を頻繁に開くとなると、メンバーの負担も大きくなり、全員が時間を合わせて集まることも現実的に難しくなってくることもあるでしょう。しかしながら特別な支援が必要な子を支える仕組みは必要になってきますので、工夫して時間をとり、校内委員会だけでなく学年会で担任の気づきや悩みを話し合う取り組みや、子どもと直接関わりのある職員(例えば、担任教師、特別支援教育支援員、養護教諭など)でチームを組み、情報交換を行ったり、支援の方法を話し合ったりするといった取り組みも並行して行うとよいでしょう。

*文部科学省:発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制整備ガイドライン 第3部学校用
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2017/10/13/1383809_1.pdf

監修:筑波大学人間系障害科学域 知的・発達・行動障害学分野 教授 柘植 雅義 先生

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