ADHDのある子どもへの対応

その子への理解を深めるためにはその子への理解を深めるためには

※本コンテンツは、ADHD以外の発達障害と共通する内容が含まれています。

ADHDのある子どもを適切に支援するためには、その子どもの「これまでの育ち」について理解することが必要となり、保護者からの情報提供をお願いすることがあるかもしれません。しかしADHDをはじめとする発達障害のある子どもの保護者は、周囲から批判を浴びることで深刻なストレスを感じていたり、障害があることを受け入れられず悩んでいたりと、その状況はさまざまです。ですので、保護者の苦労をねぎらいながら、まずは協力できる状態にあるかを考慮してください。また逆に、教師から保護者に学校での様子を伝えることも必要ですが、その子の伝えるべき「今」を理解するためには、教師による日々の「観察と記録」も重要になってきます。

情報収集

ADHDの診断を受けた連絡はないが、疑いがある場合

ADHDの診断は受けていなくても、ADHDの疑いがあれば支援の対象とすべきと考えられます。しかし、いきなり保護者にADHDや発達障害といった病名を突き付けたり、子どもの気になる様子について不用意に相談をもちかけたり聞き出したりしようとするのは絶対にやめてください。まずは、子どもの成育歴が確認できる書類や、これまでの記録類を確認して、子どもの状況把握に努めましょう。教育心理の巡回相談(「巡回相談」の詳細はコチラ)があれば、巡回の先生に相談し、意見を聞くのも参考になります。

ADHDの診断を受けた連絡があった場合

※個人情報の取り扱いには十分配慮する必要があります。

参考になる資料

入学時に保護者が提出する書類で成育歴の記述が含まれているもの
(児童環境調査書もしくは家庭調査書、保健調査書 など)

入学前に子どもが通っていた保育所・幼稚園等から申し送りのあった書類
(「個別の教育支援計画」、子どもの実態や園での指導内容がまとめられたもの など)

前学年から申し送りのあった書類
(「個別の指導計画」や担任のこれまでの記録 など)

「個別の教育支援計画」と「個別の指導計画」
「個別の教育支援計画」とは、一人ひとりの障害のある子どもに対して、医療・福祉・教育などの関連機関との連携を図るために、乳幼児期から学校卒業後まで一貫した支援を行うための計画です。必要に応じて保護者が参画する場合もあります。学校や教育委員会が中心となって作成していきます。また、校内委員会で作成することもあります。
「個別の指導計画」とは、子ども一人ひとりの教育的ニーズに応じて、指導目標や指導内容・方法を盛り込んだきめ細かい指導計画です。担任と校内関係者と連携しながら校内委員会で作成することになっています。

保護者との面談

次のようなことを保護者に確認しましょう。

子どもの詳しい発達状況(生活面や行動面 など)

幼少期の様子(“そういえばこんなことがよくあった”というエピソード)

就学時健診や就学相談の結果

かかっている病院や療育内容

保護者の不安や願い、小学校への要望

医療機関や療育機関からの情報提供

子どもが医療機関や療育機関で診療や指導を受けていることについて保護者から連絡を受けている場合には、その専門的な見立てや指導の内容が、学校での活動においても参考になる場合があります。保護者から了承を得た場合に限りますが、保護者を通じて書面で返答をもらうなどして、以下のような情報を入手するとよいでしょう。

医療機関で診療を受けている場合:
診療の内容、通院の頻度、受けている治療の内容、主治医からの助言(家庭や学校での生活における対応) など

療育機関(発達障害者支援センター、児童発達支援センターなど)に通っている場合:
受けている療育プログラムの内容、スタッフからのアドバイス、連絡先 など

観察・記録

子どもを観察して記録を取ることで、発達を連続的に捉えることができ、自分の指導を振り返ることもできます。日々、子どものことをよく見ているつもりでも、記憶だけではどうしても漏れがあり、時系列で振り返ることが困難です。意識的に記録を取っていれば、経過を残すことができます。実際に行うときは、次のような内容を記録するとよいでしょう。

「いつ」「どんな状況で」気になる様子が見られたか

「いつ」「どんなとき」安定しているか

子どものよかった面、得意なこと

まずは上記のような視点で「起こった事実」を記録していき、慣れてきたら、次のような視点も加えます。

「教師がどう感じたか(考えたか)」という分析

「次にどうしたらいいと思うか」という見通し

成功体験を続けていくことで、

その子に気になる様子が見られるのはどのような状況のときなのか

そのとき、どのような手立てが必要か(有効か)

ということがわかってきます。そうしたら、さらにそこに焦点を絞り、観察・記録をしていくとよいでしょう。これらの記録を、日々の指導や学級運営に生かしたり、「個別の指導計画」を校内委員会などで作成している場合は、そのメンバーと共有して分析することで、計画作成時の参考資料になります。「個別の指導計画」を作成していない場合も、「観察・記録」→「対応法を検討」→「検討した対応法を実践」→「実践の評価」を繰り返し行うことで、それが個別の記録・計画となっていきます。

「その子の理解シート」

子どもの「これまで」について情報を入手し、実情を把握したところで、その子の「今」について、一度整理をしておきます。次のような項目についてまとめておき、ここに上書きしていったり、ある一定期間を過ぎたら新しく書き直したりするとよいでしょう。 

【その子の理解シートの例】
その子の理解シートの例

酒井幸子・田中康雄 :発達が気になる子の個別の指導計画 ,2013,p22-23,学研プラス より引用

何に困っている?
子どもが何に困っているか。教師が何に困っているか。
教師が困っていることも、子どもの視点に置き換えてみると、違う視点がみえてくるでしょう。

その子の好きな(得意な)こと

その子の嫌いな(苦手な)こと

その子のいい(素敵な)ところ

注意点
けがや事故、命に関わるような危険性のあること、友達とのトラブルになる可能性のあることなど。
対象である子どもに関わる教職員全員が理解し、対応を統一する必要があります。

保護者の気持ち
保護者の不安や悩みのほか、親子の関わりで気になること。

「個別の指導計画」を作成する際に、まずはこのシートを使うことで、情報を整理できるでしょう。

監修:筑波大学人間系障害科学域知的・発達・行動障害学分野 教授 柘植 雅義 先生

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