ADHDのある子どもへの対応

ADHDの特性に応じた関わり方ADHDの特性に応じた関わり方

※本コンテンツは、ADHD以外の発達障害と共通した内容が含まれています。

ではここから、子どもへの実際の対応について考えていきます。「こうすれば、全てのADHDのある子どもにうまく対応できる」というマニュアルはありませんが、一人ひとりの特性や置かれた状況に合わせて調整すべき「関わりの押さえどころ」があります。
ここでいくつか、特性別にポイントを紹介します。

≪「学級運営のコツ」では「全ての子どもが過ごしやすい学級づくり」の視点からポイントを紹介していますので、そちらもご参照ください≫

集中するのが難しい子には

こんなところを確認してみましょう

黒板の周りの掲示物がごちゃごちゃしていませんか?

授業中に視界に入りやすい黒板周りは、できるだけ掲示物を減らしてスッキリさせるとよいでしょう。

廊下や窓の近くのため、外からの刺激を受けやすい席になっていませんか?

場合によっては廊下側や窓側の席は避け、真ん中の前の方の席にするなど配置を考えましょう。

近くに落ち着きのない子やちょっかいを出してくる子がいませんか?

互いの目に入りにくい位置へ席を離すなどの工夫をしましょう。
イラスト1:集中するのが難しい子には

こんな関わり方もあります

棚などにも目隠しのカーテンを付けて中が見えないようにするとよいでしょう。

集中力が途切れそうな様子が見られたら、プリント配布を手伝わせたり、前に出て問題を解いてもらったりしましょう。

課題の量が多いと意欲を失ってしまうことがあるので、区切ったり分けたりして、その子が集中していられる分量に調整しましょう。

注意を払うことが難しい子には

こんなところを確認してみましょう

説明や指示がわかりにくくなっていないでしょうか?

説明が長かったり、いろいろなことを一度に言われたりすると頭に入りにくいので、端的でポイントが伝わりやすい話し方を心がけましょう。

目で見て理解できる手がかりがありますか?

耳で聞くだけより、目で見た情報のほうが理解しやすい傾向があるので、行うことを矢印を使って順序を示すなどわかりやすい資料づくりを心掛けましょう。
イラスト2:注意を払うことが難しい子には

説明が単調になっていないでしょうか?

声のトーンや話すスピードに変化をつけたり、子どもの興味のある話を挟んだりして、注意を引き続ける工夫をしましょう。

重要なことをクラス全体に対してだけでなく、個別にも伝えているでしょうか?

大切なことは、一対一でも伝えるようにしましょう。

こんな関わり方もあります

個別に話をするときは、目を見たり、名前を呼んだりして、子どもが「自分に話している」ことがわかるようにするとよいでしょう。

行事や書類の提出などのお知らせは、保護者に伝わるように、担任が連絡帳に書いておき、子どもに渡してもらいましょう。子ども自身が書くことになっている場合は、必要事項をちゃんと書いたかどうか、教師が確認をしましょう。また、特に大事な連絡事項がある場合は、保護者に直接連絡するようにしましょう。

忘れ物対策として、持ち物リストを一緒に作ったり、ランドセルを入れるロッカーに「プリントを入れよう」という紙を貼ったりして、大切なことを思い出し、記憶をつなぎとめられるような工夫をしましょう。

クラスメートにADHDのある子どもの「できること、できないこと」を説明し理解が得られている場合、協力を得られることもあるでしょう。
例えば整理整頓が苦手な子であれば、机の中の道具箱や整理用の箱の底に「ふでばこ」「ノート」などの絵や文字の書かれたカードを貼っておき、それに合わせて置くことで整理しやすくするなどの支援を行うとよいでしょう。また、「○○くん専用ボックス」を用意し、クラスメートにも、「○○くんの物が落ちていたらこの箱に入れてね」と伝えておきましょう。

※ADHDのある子どもの特性をクラスメートに伝えることは、その時の本人の状態、クラスの状況、そして本人と保護者に伝える意思があるかを踏まえて、慎重に判断する必要があります。また伝え方についても専門家に相談するなど、十分な検討が必要です。

じっとしていることが難しい子には

こんなところを確認してみましょう

動きたくなるときを把握して、「動ける保障」をしていますか?

話が長く続くと落ち着きがなくなる、授業開始から○分くらい経つと動きたくなるなど、その子の状態を把握し、「そろそろ動きたいかな?」と思ったら、小休止を設けてみんなで体操をしたり、プリント配りなどの「動けるお手伝い」を頼んだりするなど工夫をしましょう。

手持ちぶさたになっていないでしょうか?

やることがなくなったり、次にやるべきことがわからなかったりすると動いてしまうという子もいます。「○○さん、このプリントをやろうね」「○○くん、次はこのドリルをやるよ」など、「やること」の見通しを持てるような声掛けを意識するとよいでしょう。

「話してもいいとき」「話してはいけないとき」を明確に伝えているでしょうか?

授業中、発言していい場合は「では、発言してください」などはっきり伝えるようにしましょう。静かにしなければならない場合はサインを決める、「今はおしゃべりをしない時間です」と明確に伝えるなどして、ADHDのある子どもにも伝わりやすいように配慮しましょう。ただし、大きな音が苦手な子どももいるので、わかりやすいサインや合図を決めておく方がよい場合もあります。
イラスト3:じっとしていることが難しい子には

※あくまで一例ですので、クラスの状況やADHDのある子どもの状態に合わせて適切なサインをお考えください。

こんな関わり方もあります

動きたくて落ち着きがないとき、軽く体をたたいたり、肩をさすったりすることで、落ち着く場合もあります。その子が動きたい気持ちをコントロールできる方法を一緒に探してみましょう。

イラスト4:じっとしていることが難しい子には こんな関わり方もあります

※このような対応が適さない子どももいます。

「あと1分で授業が終わるよ」「このプリントをやったら、お楽しみタイムです」など、あと少し我慢すれば終わる、これを頑張れば楽しいことが待っているといった見通しを伝えるとよいでしょう。

行動する前に考えることが難しい子には

こんなところを確認してみましょう

適切な行動を十分に理解できているでしょうか?

「○○くん、手を挙げてから話そうね」「この遊びのルールはこうだよ」「見てごらん。今、みんな順番を待ってるね」「さっき、どうすればよかったかな?」など、ルールやマナー、周りの状況をその子が理解し、その場に合った行動ができるように、根気強く繰り返し丁寧に説明しましょう。
イラスト5:行動する前に考えることが難しい子には

トラブルや混乱を予想して、事前に声をかけていますか?

トラブルになりそうな場面を予測したら、「ゲームに負けたときはどうする?」「(ドッジボールで)ボールが当たったらどうするんだっけ?」「(鬼ごっこで)鬼からタッチされたら鬼になるんだよね」などと話しかけてとるべき行動やルールを確認し、想定されるトラブルや混乱を減らすための工夫をするとよいでしょう。

子どもの行動の理由を理解していることを伝えていますか?

「いけないことを伝えなくては」という一心で、まずは「ダメよ」と制止してしまいがちですが、それでは、子どもは「自分のことを理解してもらえていない」と感じ、落ち込んだり、教師に不信感を抱いたりしてしまいます。「○○したかったんだよね」「△△って言われて嫌だったんだよね」などと、まずその子なりの行動の理由を理解していることを伝え、その上で「でもね、□□すると▲▲だよね。だから□□はやめようね」など、なぜ行動を変えなければいけないのか理由を含めて丁寧に説明するべきでしょう。

こんな関わり方もあります

思いどおりにいかなくて、かんしゃくを起こす子もいます。その最中に声をかけると、それが刺激になってさらに興奮してしまうことがあるので、少し離れて見守る、もしくは、教室の片隅や校長室などその子が落ち着けるスペースを確保し、そこで過ごせるようにするのもよいでしょう。

衝動的に行動しそうになったら、「一緒に10数えよう」などと声をかけましょう。また普段から「3分じっとしてみよう」「すごい、できたね!次は5分」というように「待つ」練習を取り入れて繰り返すことで、衝動的な行動が少しずつ減っていくこともあります。

人との関わりを学ぶトレーニングで、「ソーシャルスキル・トレーニング SST(Social Skills Training)」というプログラムがあります。療育機関のほか、最近は通級指導教室で行うところも増えているので、専門家に相談して指導してもらうとよいでしょう。

監修:筑波大学人間系障害科学域知的・発達・行動障害学分野 教授 柘植 雅義 先生

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